原研哉『デザインのデザイン
- 作者: 原研哉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/10/22
- メディア: 単行本
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原研哉『デザインのデザイン』special
p.24
一方、デザインは基本的には個人の自己表出が動機ではなく、その発端は社会の側にある。社会の多くの人々と共有できる問題を発見し、それを解決していくプロセスにデザインの本質がある。問題の発端を社会の側に置いているのでその計画やプロセスは誰もがそれを理解し、デザイナーと同じ視点でそれをたどることができる。そのプロセスの中に、人類が共感できる価値観や精神性が生み出され、それを共有する中に感動が発生するというのがデザインの魅力なのだ。
p.411
デザインとは、ものづくりやコミュニケーションを通して自分たちの生きる世界をいきいきと認識することであり、優れた認識や発見は、生きて生活を営む人間としての喜びや誇りをもたらしてくれるはずだ。新しいものはゼロから生まれるのではなく、外から取り入れるのでもなく、平凡に見える自分たちの日常を独創的に覚醒させることから生まれる。デザインとは感覚を覚醒させ世界を感じ直していくことである。