藤崎圭一郎『デザインするな』ドラフト代表 宮田識

デザインするな―ドラフト代表・宮田識

デザインするな―ドラフト代表・宮田識

2011/03/25 2回目読了 2011/03/28 メモ
●デザインするには最低限の技術が必要だが、本当は、見ているか、見ていないか、感じているか、感じてないかが大切。ex. 庭のあんず。「ヘンだな」と感じる感性。
●「デザインするな」=木や葉ばかりを見ず、森まで俯瞰して、デザインを大局から考えろ。
●個性とは:見たもの、すなわち個性。
目の前(自分)を通り過ぎたものは、自分にとって必要なもの。自分にしか見えないもの。ex. 街を歩いていても、珍しいクルマに目がいく人とそうでない人=無意識のうちに自分の好きなモノを選択している。
それゆえ、自分の感性は、他の人とまったく違う。自分の感性に素直になれれば、絶対他人とは違う表現ができる。
●自分の個性が分からなくなってしまったら、自分が20歳くらいまでに育んできた感覚を確認してみるといい。
それを整理して、理屈の中に入れ込んでいく。そうすると30代でも40代でも、ものすごく面白いデザインを生むことができる。
●デザインとは、頭の中に思い描いたものを複写することです。写真も「思いまで撮る」。だから意志がないものは、撮ることができない。
ex. このケーキ、すごくおいしそうだ、という気持ち。あるコップの良さ、どこがどう素晴らしいのか。その思いがなければ、指示も出せないし、OKも出せない。
ex. PRGR、靄を切り裂くボール。ステージア、雨の中のクルマ。
●ADは2つの点で他の仕事と大きく違う。
1:企業のさまざまな人と付き合える。営業、工場、役員、販売店…etc
2:必ずアウトプットがある。コンサルも形までは作れない。
●デザインを「志」「仕組み」「表現」の3つの段階で考える。
cf. 菊竹清訓「か、かた、かたち」。「か=本質」「かた=実体」「かたち=現象」
ex. ギロチン:首を落とすところを見せ物にする=現象。
刃のサイズ、重量など、ギロチンの仕組み=実体。
そもそも社会にとってどうなのか=本質。
●印刷媒体を駆使し、「しゃべる絵」をつくる。「しゃべるツール」を用意して、「しゃべりつづける場」をつくる。
●『「モスバーガー」経営の味ーフランチャイズ・ビジネスの光と影』(高頭弘二著、ダイヤモンド社
●『夢みる雑草たちーモスバーガー路地裏経営の解明』
薬屋の使命:街の人の健康を守る。その使命を忘れて儲けることを考える。だからだんだん経営がおかしくなる。
モスバーガーハンバーガーという「食」、モスバーガーという「経営」を通じて、多くのお客様に「感動」を与えたい。「ありがとう」と心から感謝されるようなことをしてあげたい。

●PRGR:真逆のコンセプト。4%シェア目標→20人に1人にも満たなくてよい→かなりの変わり者→普通の広告の逆をやろう。ex. トッププロ起用、青空のゴルフ場でスイング、製品特長解説を全てやめる。ゴルフを楽しむ気持ちを語る。
●極端な話、広告の中身なんてどうでもよくて、「あのメーカーが言っているから、本当だろう」「あの人の言うことだから信用しよう」
●これ以上ポロシャツをきれいに撮るヤツはいない、という気持ちで撮影。
(大きすぎるスタジオ、特注のアクリル台、8×10)
その「思い」がない写真は、単なる商品撮影。技術のあるカメラマンなら誰でも撮れる。
思いがあるからアートディレクターの写真になる。思いを複写する、ということ。

●いつの時代も変わらないもの。
「勇気」:やる勇気、やらない勇気。
●ルールは変わるけど、マナーは変わらない。
ルール:約束事。組織や時代で変わる。
マナー:他の人に気持ち良いと感じてもらいたいと思って、自ら率先して行うこと。
そのマナーを実践するには「勇気」がいる。ex. スリッパ整える。
●マナーは空気を作り出す。空気をつくることもデザイン。
●仕事場にもマナーはある。人任せにしていると、自分たちがだんだん荒んでくる。
●法律的には問題ないけれど、気分が悪いと感じること。なんとなくヘンだなと思うこと。それがすべて。

●広告=最初に理解があって、次に鑑賞がある。アイデアを瞬間的に理解してもらって、次に、手に取ったりじっくり眺めてもらって、構造やテーマを考えてもらったり、ディテールの美しさを味わってもらう。
ほーら美しいから始まるのではなく、ほら面白いでしょうが先でそれから美しさを鑑賞してもらいたい。

●広がるばかりでは、ブランドはできない。広がるには中心が必要だ。

●「かな、かな、かな」ああかな、こうかな、と仮説を立てる。ex. ブラ、ビールの撮影。

●外部スタッフとの関係作り、スケジュールの立て方、予算の組み方…。自分で組むことこそ、仕事をリードすること。

●環境づくり:売るための仕組み、実績をつくっておいてから、広告を手がける。広告を先にやると、広告だけで商品を売ることになるから、たくさんの要素を入れないといけなくなって、表現が窮屈で苦しくなる。しかし、売れる仕組みを作って、広告をその仕組みのひとつと位置づけておけば、要素を絞れて、広告はシンプルで余裕のある表現にできる。

●十文字さん:モデルに、笑ってくれというのではなく、彼が笑うように自分がどうもっていくか。撮ろうとしているのは形ではなく流れ。形はすぐに死んでしまう。流れのなかで生きているものをつかまえる。
●パッシブ(受動)こそ能動。自然の変化を受け入れる。自然と共生すると、変化に応じて、面倒なことも引き受けなければならない。パッシブを守り続けるには、ものすごく人のエネルギーが必要。ex. あんずの狂い咲き=パッシブの極み。