葛西薫×天野祐吉「クリエイターズトーク」

葛西薫×天野祐吉「クリエイターズトーク」2011.3.27開催 東大

天野:
烏龍茶といえば、葛西薫のこと。
今日は中国服で来た。心は見えないが、心配りは見える。

フォントについて:
日本語は縦書き、英語は横書き
日本語は横棒が多い、英語は縦棒が多い。
→目に引っかかるようになっている。
しかも日本語は、筆圧が残っている(ウロコ)。
横棒、細くても見える(なくても読める)。

浮雲について:
代官山の写真館で各人2枚だけ撮影。
1枚は写真館の人ディレクション、もう一枚は葛西さん。

書体=声。
天野:最近は中ゴシが多い→音も平板(ex. カレシ、カノジョ、ロゴ)
葛西:明朝は古めかしい、生々しい。ゴシックは、見る人が楽。

ウーロン茶のCFについて:
天野:トーンが変わらない。
葛西:どういう時でも変わらない、絶対的な基準に触りたい。
時代も流行もよく分からないから、そこに触らない。
音の力大きい。
天野:CFに出てくる人は「人間の原型」みたい。素朴。
今の人の顔、中ゴシみたい。
葛西:なりゆき。中国の人が撮らせてくれる。生け捕り。
無理しない。
天野:無理矢理ディレクションすると、対象を「素材」にしてしまう。
ex. インタビューで、この事件は悪いと言わせたい。
葛西:笑ってくれ、ではなく、笑う直前とかの方が感じる。
作りたいと思うから迷う。「見たい」かどうか。

デュエットCFについて:
サントリーから、目立つ、話題性のあるものを、というオーダー。

農村、畑で夫婦が歌い、踊る(映画「フォスター」のイメージ)

暗い。but、歌を歌うのは良い

デュエットなら「いつでも夢を」だ。
そのままだと恥ずかしいけど、
中国語なら良いかも。

OK

現場で聞いた時はまずいと思った(音痴だった)
でも、スリルのあるものの方が、見る人が支えてあげたいと思う。
川崎徹:現場でムチャクチャやっても、CFになると大人しくなる。

グラフィックについて:
3年間キッチュに挑戦した→このお茶本当に中国で作ってるの?
→4年目からドキュメントに。
お茶の葉主義:わざと左右を空けて、海外から紛れ込んだ広告の感じにした。
モデルについて:
斜め(前屈み)になってない人、私を使って、となってない人。
真正面を見てる、堂々としている人。
自然とその人が選ばれる(選ばされる)。

打倒テレビ、と思っていた(時間も予算もCFの方が多いから)

ウーロン茶は両方できる。事前打合せをすることで、想いがひとつになる。

本当はないし、経験してないのに、既視感がある。

仲畑さん:どうにもならない時、困ったときはアップにしときゃ良い。
ex. 氷ノ国ノ人 フィンランドは引いても雪ばっか。

初演出は、夢オチ。(上海ブギウギ)

姉さんはよく食べる。なのに…ずるい。
タイポ難しかった。同級じゃダメだし。

中性脂肪に告ぐ。
薬局で「○○にお悩みの方へ」みたいな字。
食欲を増進させるようなポスター。でも黒ウーロン茶なら大丈夫。

アップ:こう見ろ!
ロング:勝手に見てください。受け手を尊重。

「葛西さんのポスターは、ポスターに見られている気がする」
と言われたことがある。

天野:中国人から見られている気がする。
「今の日本人ってどうなの?」

サントリーに対して、また、サンアドの旧作品に対して
失礼にならないものをつくりたい。こうあるべきじゃないか、というもの。
アンクルトリスは今見ると実験的)

今の人たちどう思う?:
絵の具溶いて考える待ち時間がないのはかわいそう。
体で考える時間をつくると、MACがすごく役立つ。
プリミティブさを取り戻す。
チャンスを逃しているのでは?

野口悠紀夫:「着手」することが大切。
ex. 文章の一行目を書くこと。

広告で何ができるか:
「潤い」は与えられると思う。
その他大勢に属する人がほとんど。
ちょっと良いことがあると笑顔になれる。
それを後押ししたい。
マスは恐い←ひとりひとりが集まってマスだぞ!と言いたい。
自分が良いと思ったことを、誰か一人でも良いと思ってるはず。

天野:復興した日本は、震災前の日本で良いのか?
変わらなくちゃならない。
ものを買っても幸せじゃない日本だった。
「買え買え」じゃない広告を。
この機会にどういう日本になったら良いのか。
「心豊かな国になると良いね」という広告。

葛西:右肩上がりではなく、順行。スムーズな回転、共存共栄。
言葉、デザインという潤いが人を助ける。喜び。

出来上がったものに対する疑い。
ホントかな、もっと良いものがあるのでは?
と思うことが大切。
あんまり勉強しない方が良い。

子どもっぽい、とんでもない感じを使うことも大切。
○跳躍、危険 ×無難
思い切った方を選ぶと、何か解決する。
若いときの方が既成概念に捕われていた。
違う職種、分野外の方がデザインに役立つ。